相思相愛ですがなにか?
「今回はどれくらい日本にいるのかな?1週間?2週間?それとも1か月ぐらい?」
やる気が漲り希望に満ち溢れた眼差しで、前のめりになってお兄ちゃんに尋ねてみる。
「さあな?結婚する相手にもよるんじゃねーの?」
お兄ちゃんはそう言うと執事からコーヒーのお代わりを注いでもらい、あっさりと再び新聞に目を通し始めたのだった。
私はむんずと新聞をひったくり、脅すようにテーブルにバンッと手をついてお兄ちゃんに詰め寄った。
「結婚って……どういうことよ!?」
聞き捨てならない“結婚の”二文字に、フルフルと小刻みに身体を震わせ怒りを露にした。
伊織さんが結婚するなんて、私は初耳なんですけど!?
更なる説明を求める私に対して、お兄ちゃんは面倒臭さマックスのしかめっ面で答えた。
「ほら、伊織も結婚適齢期だろ?親父さんが早く孫の顔が見たいから見合いするように言われて帰国したんだと。まあ、典型的な戦略結婚だろうな」
「なんですって!?」
そんな理由でわざわざニューヨークから呼び戻して、お見合いさせようなんて信じられない。