相思相愛ですがなにか?
5.恋にお邪魔虫はつきもの

「おい、月子。入るぞ」

部屋の主の許可なしにノックから3秒余りで扉を開けてしまうなら、もはやノックの意味はない。

今更怒るのもバカバカしいので、そのまま会話を続ける。

「なあに、お兄ちゃん」

むくみをとるために脚をマッサージしながら、無礼千万のお兄ちゃんを一切見ずに尋ねた。

「これ、今後の予定表。目を通しておけ」

私はマッサージオイルだらけの手をタオルで拭うと、差し出されたスケジュール表を受け取る。

「こんなにあるの!?」

スケジュール表に記されている日付と、こなしていかなければならない行事の数に辟易する。

結納に始まり、婚約パーティー、結婚式の打ち合わせ、各種イベントへの顔出し、挨拶回りなどなど……。

結婚式を行うクリスマスイブまでの約7か月間、ほぼ毎週どこかに出かけている計算である。

ちなみに挙式は先日顔合わせをした南城家御用達のホテルで行われることが既に決定している。

「お前が伊織と結婚するって言いだしたんだろうが」

面倒だなあと思っているのが顔に出ていたのか、お兄ちゃんがブーブーと文句を垂れる私の頭をはたいた。

(そりゃあ、そうだけど……)

結婚に至るまでこんなにイベントを盛り沢山にされるとは思わないじゃない?

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