相思相愛ですがなにか?
「どうぞ」
南城家に到着すると、これまでと同様に助手席のドアを開け、月子ちゃんに降りるように促した。
色々なことがあった怒涛の一日がようやく終わろうとしている。
すったもんだはあったが予定通り月子ちゃんに指輪を渡すことが出来て、俺は大いに満足していた。
……だから、これ以上のサプライズが起こるはずがないと油断していた。
「今日は素敵なプレゼントをありがとう」
月子ちゃんは俺の首に両腕を巻き付け軽く背伸びをして、頬にそっと触れるだけのキスをした。
「おやすみなさい、伊織さん」
そう言って頬を染めながら逃げるように玄関へと走り去っていく月子ちゃんが可愛いくて、可愛くて、俺は……。
(まいったな……)
気まぐれにくれたキスひとつでこうも心を鷲掴みされてしまっては、この先俺はどうなってしまうのだろうか。