相思相愛ですがなにか?
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「綺麗……」
照明が煌々と光る天井に手をかざし、左手の薬指に嵌めた婚約指輪をうっとりと眺めていた。
伊織さんがあの日手ずから嵌めてくれた指輪をあらゆる角度から拝み倒すのは、私の新たな日課になっていた。
(嬉しいな……)
伊織さんに選んでもらった婚約指輪を嵌めてもらってようやく、結婚の話が夢じゃないんだと実感した。
久喜さんに作ってもらう予定だった婚約指輪はほとんど私が決めちゃったから、二人の指輪って感じじゃなかったもんな……。
「カッコ良かったな……」
久喜さんからかばってくれた時の伊織さんの頼もしいことと言ったら悶絶ものだった。
伊織さんてば映画に出てくるヒーローみたいなタイミングで現れるものだから、うっかり抱きついてしまいそうになっちゃった。
さすがにはしたないかなって思いとどまって、泣く泣く唇を噛み締めて我慢したけど。