極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

高井に貴行が質問を投げかける。


「専門部会によると、およそ1.4倍程度の上昇だと見られています」


1.4倍となると、相当な負担増だ。
貴行は腕を組み、深く息を吐きだした。


「排ガス洗浄装置だとどうなる?」
「装置を設置すれば、安価な高硫黄C重油を継続使用できますが、設備投資に十億円程度の資金が必要になります。ただ、三年以内に投資回収が可能との試算も」
「まぁ待て。機器自体が大きいうえ、重量も相当あるだろう。そうなると、付帯的な設備も必要になる点がネックだな」


貴行の意見に部長たちも大きくうなずく。
ただ単にその装置を船に設置すれば済むという問題でもない。

また、将来、二酸化炭素の削減規制まで加わったら、その装置は使い物にならなくなる。というのも硫黄分の対策を実施したとしても、重油を燃焼させることで発生する二酸化炭素は大きく変化しないからだ。


「となると、やはり代替燃料の線でいくしかないのかもしれないな」

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