極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

(もしかしたら、プリンセスラインのほうが好みだったかな。それともAライン?)

なんの反応もないのが陽奈子の不安を煽る。せめて写真だけでも事前に見せればよかったと後悔に襲われた。
今さら別のドレスは間に合わない。


「いや、そうじゃない。……その、あれだ」


貴行は顎のあたりに手を添えて視線を彷徨わせたあと、再び陽奈子を見つめた。気のせいか、熱っぽさを感じさせる目だった。


「綺麗だ」


ストレートに言われ、反応に困り俯く。頬が火照ってかなわない。

心臓に落ち着けと命じているうちに貴行が陽奈子の前に歩を進めていた。
ドレスを掴んでいた手をそっと外され、指先が絡められる。

ぎくしゃくとした動きで顔を上げていくと、予想外に優しいまなざしがそこにあった。
鼓動がトクンと跳ねる。


「思えばプロポーズもしていなかったな」

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