極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

自分の結婚式なのだ。緊張しないほうがおかしいだろう。


「そうだったのか。それは知らなかったな」
「知らなくて当然です。出会って間もないんですから」


回数を数えるのに十本の指で足りる程度だ。


「それもそうだな。ま、これからじっくり知っていけばいいだろう。さぁ、みんなが待っているから行こう」


肩を引き寄せられた陽奈子は促されるように歩きだし、揃って控え室を出た。

貴行の実家は、都心の一等地にある敷地面積三千坪を超える大邸宅である。
建坪百二十という豪邸は白を基調とした洋館で、敷地内には広い庭はもちろん、プールやジョギングを楽しめるコースなどもあり、一見すると高級なプチホテルのようでもある。

その家を出て、手入れの行き届いたヨーロピアン調の庭へやって来ると、月島家の親族と陽奈子の家族の姿が見えた。

青い芝には、この日のために設けた祭壇と、招待客が座るためのしゃれた長椅子がバージンロードを挟み両脇に用意されている。

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