極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

そうかと思えば、いきなりの再会と結婚。貴行と出会ってからの陽奈子は、まるでジェットコースターに乗っているような感覚だ。

右へ左へ身体を振られ、突然の宙返り。そして今は、長い坂を上って頂点を目指している最中。
このあとに急降下があるのか、それとも緩やかな道が続くのか。現段階では陽奈子にもわからない。

ベールを持ち上げられて誓いのキスを交わす瞬間、貴行と視線が絡まる。

なにを思っているのか読み取れなくても、かすかに熱だけは感じ取れた。
きっとそれは、この場が結婚式だという高揚感のせいだろう。マルタ島で不意打ちにされたキスのように、雰囲気が気持ちを盛り立てているだけ。

貴行は微笑みを浮かべてから、陽奈子にそっと誓いのキスをした――。

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