極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「おばさまがご紹介くださるのは、自己中心的で傲慢、自分を着飾ることでしかアピールできないような女性ばかりでしたから。他人を思いやれるようでないと、トップに立つ人間を支えることはできません」
「まぁ! ずいぶんとわかったような口を利くようになったものね」
智子がカッと見開いた目は、白い部分がほんのりと血走っていた。
激しい口論に発展するのではないかと、陽奈子が大きな不安に駆られたときだった。
「お姉様」
その場に不釣り合いな優しい声がかけられる。
貴行の母、阿佐美だった。
「晴れの日なのに、なにをそんなに興奮なさっているの?」
「阿佐美さんったら呑気なんだから。貴行の結婚相手は私が見つけるって言っておいたでしょう? それなのにどこの工場の娘だか知らないけど、いきなりこんなふうに結婚式を挙げるだなんて。月島家始まって以来の大事件だわ」
「落ち着いてくださいな。陽奈子さんは、とても素敵なお嬢さんよ。だから私も賛成したんですから」