極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

その〝すごい〟には、さっきの智子はもちろん〝派手〟といった意味も含まれているのだろう。
式を終えて改めて見た女性陣の姿には、陽奈子も自分の目を疑ったほど。もしかしたら有名なデザイナーがデザインしたものなのかもしれないが、原色系のカラフルで奇抜な衣装は主役の陽奈子よりも目立っている。

初めて貴行の母、阿佐美に会ったときに驚かされたけれど、こうして親戚一同を見ると、阿佐美が一番落ち着いているようにすら思える。

淡いピンクという色合いのせいか、ヒラヒラのレースをあしらわれたプリンセスラインのワンピースがおとなしめに見えるのだからよっぽどだ。


「政略結婚かもしれないけど、貴行さんはきっと陽奈子を大切にしてくれると思う」


そう言った萌々に、陽奈子は返す言葉を見つけられない。
優しいところのある貴行なら、大切にしてくれるだろう。でも好きになってくれるかどうかいったら、確率はかなり低いと覚悟しておかなければならない。

なにしろ政略結婚。本人たちの気持ちの優先順位は低いから。

でもそれは陽奈子も同じで、貴行を好きかと問われたら即答はできない。

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