極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「本当のことだ」
「買いかぶりだとは思いますけど、うれしかったです」
間接的とはいえ、少なくとも人からそう言ってもらったのは初めて。
「まぁそうだな。なんせ超がつくほどお人好しときてるからな」
「優しいと言ってください」
「出会ったときに『お人好しって言ってください』と言ったのは、どこの誰だ?」
痛いところを突かれて陽奈子が言葉に詰まると、貴行はクククと肩を震わせた。
出会ったばかりの頃だったらイラッとした言動なのに、なぜかそんなやり取りが楽しい。
「陽奈子も疲れただろ。風呂に入ってきたらどうだ?」
そう言われた瞬間、反射的に陽奈子の頭に〝その先〟が浮かぶ。――初夜だ。
結婚式をあげれば、当然ながら〝その夜〟は訪れる。政略的だろうがなんだろうが、みんな等しく新婚初夜だ。
「あ、えっとその……」