極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

男の人とそういった行為をした経験がないわけではない。でも、あまりいい思い出ではなく、片手で数えられるくらいのもの。初心者も同然なのだ。

それに貴行とは法的に夫婦でも恋愛過程を経ていない。そんな状況が陽奈子を余計に緊張させた。

のぼせる寸前でようやくバスタブから上がり、パウダールームで着替えを済ませる。
置いてあったバスローブを着ようかと思ったものの、あからさまにやる気満々のようで恥ずかしいため、自分で用意したパジャマに腕を通した。
それでも一応気を遣ってかわいらしいピンクのものにするあたり、自分も意外と乙女チックだなぁと思い知った。

ふたりの寝室は螺旋階段を上がって、右の突き当りにある。
緊張に手を震わせながらドアを開けて拍子抜けした。彼の姿はまだなかったのだ。

(……なぁんだ。緊張しすぎて損しちゃった)

肩を上下させて胸を撫で下ろす。

上がってくる前に覗いたリビングにもいなかったので、もしかしたら二階のバスルームを使っているのかもしれない。

二十畳ほどの寝室の左側にはキングサイズのベッドがあり、白い革張りのソファセットが右側にある。

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