極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
ベッドサイドの照明だけつけてベッドに座ったものの、まるで自分から誘っているみたいだと気づいて慌てて下りる。
(新妻だもの。恥じらいが必要よね)
クッションを抱えてソファの隅に座った。すると思いのほか座り心地がよく、つい何度もお尻を弾ませる。
(さすが高級ブランドのソファは違うなぁ。たしかイタリア製だったよね)
貴行の好みらしく、この家にあるほとんどのものはそのブランドの家具だ。
彼と結婚しなければ、こんな家具を使うこともなかったに違いない。
そうしているうちに二十分が経過した。
(ずいぶんと長風呂じゃない? もしかしたら念入りに洗っているとか……?)
そう考えて、再び頬が熱くなる。
(もうやだな、私ってば。変態みたいじゃない)
きっとお風呂が好きなのだろうと半ば無理やり思い直し、もう一度クッションを抱え直した。
ところが、それからさらに三十分が経っても貴行は現れない。
いくらなんでも遅すぎるだろう。
(――まさか、お風呂で倒れていたりしない!?)