極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「だろう? だから陽奈子がその気になるまで待ってる」
「……私がその気になる、まで?」
それじゃ貴行はもうその気なのかと聞く勇気はない。
「無理やりは俺の流儀に反する」
貴行はそう言うと陽奈子の手を引いて階段を上がり、寝室の前まで連れてきた。
「おやすみ」
額にキスをひとつ落とし、最後にくしゃっと髪を撫でて書斎のほうへ歩いていく。
陽奈子が「おやすみなさい」と返したのは、貴行がドアを閉めたあとだった。