極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

おそるおそる鏡の前に立つと、前代未聞の格好をした自分が映った。


「わわっ……!」


あまりにも恥ずかしくて、そそくさと鏡の前から退散する。

(こんなのを着てたら、頭のおかしな女だと思われない?)

露出狂だと思われたら本末転倒だ。

(……でも大和さんはこういうのが好きなんだよね。男の人がそう言うんだもん、貴行さんだってきっと……)

口で〝その気になった〟と言えない以上、これでわかってもらうしかない。
せっかく買ってきたのだ、使わずしてどうする。

陽奈子に妙な闘争心が芽生えた。
仕事で遅くなると言っていたが、帰ってこないわけではない。それなら、帰宅を待って決行しよう。

【会社を出るときに連絡してください】

アプリで思いきってメッセージを送信し、ベッドに入って再び本を読み始めた。

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