極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
二階まで吹き抜けになり、暖炉も備えつけられている部屋は外観同様に白で統一され、品があるうえにゴージャスである。
大きな掃出しの窓の向こうには、陽奈子たちが式を挙げた広い庭が広がる。青々とした芝生が目にまぶしい。
この豪邸に阿佐美は今、ひとりで暮らしている。
「これ、ご一緒にどうかと思いまして」
持参した白いケースを阿佐美に手渡す。
「あらぁ、そんな気を遣わなくていいのよ? 今度いらっしゃるときには手ぶらできてね。でも、うれしいわ」
阿佐美はニコニコしながらそれを家政婦に手渡し、お皿に取り分けるよう指示をした。
ワゴンで用意しているのは紅茶なのか、部屋にいい香りが漂ってくる。
「陽奈子さん、お紅茶はお好きかしら? あ、それともコーヒーのほうがよかった?」
「どちらも好きなので大丈夫です」
向かいに座った阿佐美に恐縮しながら首を横に振る。