極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「そんな席に私を呼ぶなんて、阿佐美さんったらどういうつもりかしら」
鼻の穴を大きく膨らませ、智子が肩を上下させる。かなりおかんむりだ。
(ど、どうしよう……)
陽奈子はソファで小さく肩を丸めた。
「せっかくですから、女三人で仲良くお茶をどうかなって思ったんです」
智子の怒りなどどこ吹く風。阿佐美はおっとりとした様子で小首を傾げた。
「さあさあ、お姉様もお座りになってください。おいしいケーキもあるんですよ」
阿佐美がテーブルの上を手で示すと、それにつられて智子の顔がそちらに向く。そして、その目をパッと輝かせた。
「もしかして『グランマーリエ』のタルトじゃない?」
陽奈子が買ってきたのは、その店でも特に人気のあるミルクプリンフルーツタルトだった。