極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
すでに階段の途中。ここで落とされれば、お尻の強打は免れない。
「ならじっとしてろ」
「……はい」
陽奈子がしゅんと肩を落とすと、貴行はくすりと笑った。
階段を一段上がるごとに、陽奈子の緊張も増していく。ベッドルームが近づくにつれて心臓の音は大きくなり、貴行にまで聞こえているのではないかと心配だった。
貴行は陽奈子をベッドに下ろし、スーツのジャケットを脱ぎ捨てる。シュルシュルと音を立てて外したネクタイも、ベッドサイドにさっと放り投げた。
ワイシャツを脱ぎながら陽奈子に注がれる貴行の視線が、ほんの数十秒前とがらりと変わる。獲物を狙うような鋭さがあるのに、それでいてものすごく甘い。
陽奈子は目を逸らせずただベッドに座り、貴行の引きしまった逞しい身体に見惚れていた。
上半身だけ服を脱いだ貴行がベッドに上がると、陽奈子はいっそう身体を硬直させる。
緊張の度合いが半端ない。
「身体の力を抜いて」