極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
そう言われても、どうにもできない。カチンコチンだ。
「せっかく車でほぐしたのに、もう一度やり直しだな。俺を誘惑しようとした心構えはどこいった?」
「あれは……!」
破れかぶれとも言える所業だろう。
「ほら、リラックスして」
無理だ。この状況下でリラックスなんて、どうしたらできるというのか。
貴行の手が髪に触れ、頬を伝って唇をなぞる。
魅惑的な瞳に見つめられ、どうにかなってしまいそうだ。
「〝たぶん好き〟なんて言えなくしてやる。俺以外、考えられないように」
身体を引き寄せられ、唇が重なる。
車でされたキスより、もっと官能的で艶めかしい。
ベッドにゆっくりと倒されたときには、〝たぶん〟などという曖昧な心は吹き飛んだ。
そもそも、その言葉自体が照れ隠しだったのだから。