極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「よし、初夜の仕切り直しだ」
「えっ?」


貴行は身体を起こし、再び陽奈子を組み伏せる。


「あの、貴行さん……?」


この体勢はどういう意味だろうか。わからずに貴行を見上げる。


「初夜の分を今からする」
「ちょっ、ちょっと待ってくだ――」
「待たない」


否応なしに身体を拘束された。
それでも、落ちてきた貴行のキスを寸止めする。


「そ、その前に! 貴行さんも聞かせてください」


いつから陽奈子を好きでいてくれたのか。
どうして好きになってくれたのか。


「マルタ島、か?」
「〝か?〟って、疑問形なんですか?」
「いや、悪い。マルタ島で会ったときにはもう好きだったんだろうな。だからキスした」

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