極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「そういうことだ。式を早く挙げたのも、陽奈子の心変わりを防ぐため。やっぱり結婚しないと言って逃げられないとも限らない」


思いもしない貴行の告白だった。
陽奈子の父親が借金で苦しんでいるところにたまたま現れたわけではない。
貴行の意思をもって、陽奈子と再会したのだ。


「全然気づかなかった……」
「だろうな。陽奈子は鈍感っぽいから」
「――ふ、っんん」


鼻をつままれてもがくと、貴行がクククと笑う。


「貴行さん、意地悪すぎる」
「そうか? 陽奈子がかわいいから、ついいじめたくなるってことにしておけ」
「しておけって、なんですか」


唇を尖らせて反発すると、貴行はその唇に人差し指をそっと押しあてた。


「そろそろ黙って」


しーっとばかりに唇を引き結ぶ。
ドキッとして身じろぎをすると、貴行はふっと軽く笑みを浮かべてから陽奈子に口づけた。

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