極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
陽奈子はうれしそうに顔をパッと明るくさせた。
「じゃ、ちょっと待っててくださいね」
「支払いは?」
早速カウンターから離れかけた陽奈子を呼び止めると、「あっ、そうだった」とハッとする。
「オイオイ、大丈夫か?」
「大丈夫ですってば。貴行さんがいきなり来るから調子が崩されただけです。いつもはしっかり働いているんですから」
もちろん貴行も陽奈子を疑っているわけではない。
支払いを済ませて待つこと三分。商品の受け渡しゾーンで陽奈子が「お待たせいたしました」と、カップを差し出す。
生クリームがたっぷりのった、糖分過多が気になる一品だ。
「甘そうだな」
「おいしいですから、騙されたと思って飲んでみてください」
思わず顔をしかめる貴行に、陽奈子はカップをぐいと突き出した。