極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「お待たせしました」
息を弾ませ、陽奈子がやって来た。
「おつかれさま」
「それ、どうですか? おいしいでしょう?」
目をキラキラさせて貴行を見上げる。そんな顔をされれば否定はできない。
「ん? あ、あぁそうだな」
「その微妙な返事はなんですか?」
即座に眉根を寄せる。
(怒った顔ですらかわいいと思うんだから、俺もよっぽどだな)
自分のことがおかしくて鼻を鳴らすと、陽奈子は「どうして笑うんですか」と、今度は唇を尖らせた。
その唇をかすめるようにしてキスをする。
「なっ……!」
陽奈子は目をまん丸にして身体を硬直させながら、頬を一瞬で真っ赤に染めた。