極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
大和の許可を得て、智子を抱えるようにしてスタッフルームに入った。
窓際のソファに寝かせられホッとしたのだろう。智子はふぅと細く長く息を吐いた。
氷で冷やしたタオルを大和が持ってきてくれたため、それを智子の額にあてる。
「救急車、呼ばなくて平気か?」
「そうですよね……」
大和に言われて悩んでいると、薄目を開いた智子が「大丈夫よ」と呟く。
でも、その声はかすれている。かろうじて出しているようだ。
「なにかあったら大変なので、やっぱり救急車を呼びますね」
「平気だって……言ってるでしょ。救急車なんて、大騒ぎになるようなことは……やめてちょうだい」
言葉自体はキツイけれど、弱々しさに変わりはない。息も途切れ途切れだ。
「それじゃタクシーで病院へいきましょう」
それなら文句はないだろう。このままここで体調が悪化したら大変なことになる。