極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「よし、それじゃ、すぐに手配するよ」
大和がポケットからスマートフォンを取り出してタクシーを呼んでいるうしろから、心配そうにした早紀が顔を覗かせた。
「陽奈子ちゃん、大丈夫?」
「今、大和さんにタクシーを呼んでもらったので、病院へ連れていきます」
「救急車のほうがいいんじゃない?」
「それは嫌みたいなんです」
チラッと智子見てから、口もとに手をあてて早紀にこっそり囁く。
「それと申し訳ないんですが、知り合いなので病院へ付き添ってもいいですか?」
シフトに入っているのに急で迷惑をかけるのはわかっているけれど、このまま智子をひとりでタクシーに乗せるわけにはいかない。
「陽奈子ちゃんのお知り合いだったの? お店のことは心配しないで大丈夫よ」
早紀はふたりを見比べるようにしてから、親指と人差し指を使って丸を作った。