極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

◇◇◇

陽奈子が店に戻ったのは、午後五時までもう間もなくという頃だった。

大和と早紀にも、大事には至らなかったと報告。疲れただろうから、今日はいっそのこと休みにして帰ってはどうかと提案されてしまった。
しかも、オーシャンズベリーカフェの東京本社へ行く用事のある大和が、ついでに自宅まで車で送ってくれると言う。

早紀にも「そうしてもらいなよ」と何度もせっつかれ、大和の厚意に甘えることにした。

ビルの前まで大和が回してきてくれた黒いコンパクトカーに乗り込む。自宅のおおよその場所を告げると、車は滑らかに走りだした。


「本社に行くことは結構あるんですか?」
「一ヶ月に一度、店長会議があるからね。今日は人事部から呼び出されたんだ」
「そうなんですね」


大和によると、新しい店舗が出店になるから、それ絡みの人事異動の話だろうと言う。
今の店に赴任してからもそれほど経っていないから、勤務先がちょこちょこ変わるのは大変だろうなと他人ごとながら思う。


「さっきの女性は、陽奈子ちゃんの親戚かなにか?」

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