極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「あ、はい。主人の亡くなったお父様のお姉さんなんです」
「……月島の人間だったのか」
大和の返事に、一瞬だけ間が空く。表情も少しだけ曇ったように見えた。
「月島がなにか……?」
なんとなく違和感を覚えた陽奈子が問いかけると、大和は「あ、いや」とすぐにいつもの様子に戻る。
「ツキシマ海運なんて大企業に嫁いで大変なんじゃないか?」
「そうですね、大きなことに変わりはありませんが、彼のご家族もみなさん、良い方たちばかりなので」
ほんの少しの脚色は許されるだろう。
智子は決して悪い人ではないけれど、陽奈子に好意的でないのは事実。病院に付き添った今日も、最後まで〝余計なことをして〟という態度を崩さなかった。
「大和さんも彼女がいらっしゃるってお話ししていましたよね。ご結婚も考えているんですか?」