極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「うーん、そうだなぁ。今すぐは厳しいかな。俺もどうなるかわからないし」
「どうなるかって?」
どこか意味深に聞こえ、陽奈子が聞き返す。
まるで、明日でさえ自分がどうなるかわからないような言い方だ。
「あ、いや、ほら、人事部に呼び出されたわけだし、どこか遠くの店への内示かもしれないだろう?」
「言われてみればそうですね」
生活の拠点が不安定では、なかなか結婚を考えられなくて当然だ。
「いつどんなタイミングで結婚なんてことになるかわからないから、もしかしたら一ヶ月後には陽奈子ちゃんに報告する可能性がないとは言いきれない」
「ふふふ。私のように、ですね」
相手との顔合わせから、ほんの数週間のうちに結婚して一緒に暮らしているのだから。
人生、なにが起こるかわからない。
「そうそう。陽奈子ちゃんだって、自分でもびっくりのタイミングだっただろう?」
「はい。本当にびっくりでした」