極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「ありがとう」
そう言って額にキスを落とす。
「ほんとに俺の奥さんって人は」
「……なんですか?」
「かわいくて仕方がない」
困ったように笑ってから、今度は唇にチュッと軽く口づける。
「病院に付き添って疲れただろ。俺も手伝うよ」
ネクタイを緩め、ワイシャツの袖をまくり上げる。
「大丈夫ですよ。店長に家まで送ってもらったので」
陽奈子がそう言うと、貴行は手を止めてじっと陽奈子を見た。いつになく鋭いまなざしだ。
まずいことを口にしたと思っても、もう遅い。
「あ、あの、オーシャンズベリーカフェの本部に用事があったらしく、車を出すついでに送ってくれたんです」
言い訳がましく続けると、貴行は大きくため息をついた。