極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
そう言いながらも、怒った様子はない。優しい微笑みを浮かべ手帳から顔を上げる。
「そうだな。悪かった。忘れてくれ」
貴行がひらりと手を振って椅子にもたれるが、歩美は反して口を開く。
「たまにケンカはしますけど、うちはうまくいっているほうだと思います」
「そうか。それはなにより」
「奥様とケンカされたんですか?」
ズバリ聞かれ、貴行は思わずむせた。
「セクハラだぞ」
「最初に聞いてきたのは社長だったと記憶しておりますが?」
いたずらな笑みを浮かべ、歩美が首を傾げる。
たしかにその通りだ。
咳払いをして身体を起こす。
「では聞こう。ケンカしたときはどうしてる?」