極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
(貴行さんに指定された店って、高速を使っていくような場所だったかな……)
不思議に思いつつ窓の外を眺め、早紀を見る。
「早紀さん、どうして高速に?」
「陽奈子ちゃんに少し付き合ってもらおうかと思って」
「どこへですか?」
貴行の待つ店までの途中で用が済めば問題はないが。
「その話をする前に、陽奈子ちゃん、スマホ貸してくれる?」
早紀は左手をハンドルから離し、陽奈子の前に手のひらを上にして差し出した。
早紀だって持っているだろうし、なにに使うのかわからないまま、素直にバッグから取り出したスマートフォンを早紀に手渡す。
「運転中は危ないですよ」
「わかってるわ」
早紀はそう答えて、運転席のドアポケットにそれを入れる。