極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「……あの、早紀さん?」
いったいなにをしようというのか。なぜ、陽奈子からスマートフォンを取り上げたのか。
「なかなかうまくいかなくてね。っていうか、全然歯が立たないの。悔しいから、ターゲットを陽奈子ちゃんにしたわ」
なんのことを言っているのか、陽奈子にはさっぱりわからない。
うまくいかないとはなにか。
ターゲットとはなんの話か。
「どういうことですか?」
陽奈子がまばたきを激しくさせて見つめると、早紀は横目で陽奈子を見てからクスッと笑みをこぼした。
「到着するまで少し時間があるから、ゆっくりお話しするわね」
「えっ? あの……お店に送っていってくださるんじゃ……?」
「悪いけど、そのつもりは最初からない」