極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
早紀の言っていたようにどのチャンネルも予定を変更して、特別番組を組んでいた。
ツキシマ海運の本社前に立ったリポーターが、興奮を抑えきれないような様子でマイクに向かって盛んにしゃべっている。
『夫人は無事なのか。ツキシマ海運に、いったいなにが起きているのか』
そんな言葉で結び、報道センターへ主導権を返す。そういったやり取りの繰り返しだった。
「ほらね。大騒ぎになってるでしょ?」
早紀がおもしろがってチャンネルをころころ変える。
しばらくそうしていた早紀は、それも飽きたのかテレビを消し、リビングを再び静寂が包み込んだ。
「早紀さん、こんなことやめましょう」
「はぁ? ここまできてやめられるわけがないじゃない。今や、日本全国がツキシマ海運の悪事に興味津々なのよ?」
「でも、早紀さんがまた傷つきます」
調べていく過程で、マスコミはきっと早紀が花嫁候補だった過去にもたどり着くだろう。