極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
その腕にぎゅっとしがみつき、必死に「はい」と答えた。
「なんなのなんなのなんなのー!?」
頭を振り乱した早紀が、金切り声をあげる。
それと同時に、バタバタバタと上空を旋回するヘリコプターの音と、別荘を照らす強烈なサーチライトがカーテンを開け放った窓から差し込んだ。
「陽奈子、行くぞ。立てるか?」
貴行に聞かれてうなずいたものの、薬のせいで足が踏ん張れない。
「……睡眠導入剤を飲まされて」
見かねた貴行が軽々と陽奈子を抱き上げ、リビングを出ようとしたところで早紀が引き留める。
「ちょっと待ちなさいよ! どういうことなの!? なんでこんなに早くここが……!」
「陽奈子を想う俺の執念だ」
「なっ、なによそれ! 愛のない結婚のくせに! 不正も借金も似たり寄ったりじゃない!」
「愛がない? それはずいぶんと間違った見解だな。俺は陽奈子を愛してるよ」