極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
貴行がサラッと言い放った直後、リビングに特殊部隊のような格好をした人たちがなだれ込む。
「やっ! やめなさいよ! 放して!」
取り押さえられた早紀の声を遠くなりつつある意識の片隅で聞きながら、陽奈子は貴行に抱かれて外へ連れ出された。
別荘の前に止められた車の後部座席にそっと下ろされると、運転席から男が顔を覗かせる。
誠だ。
「陽奈ちゃん、久しぶりだね。マルタ島ではどうも。元気にしてた?」
屈託のない笑顔で聞かれ、微笑み返して力尽きた陽奈子は、そのままスーッと意識を失くした。