極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

◇◇◇

三日後。
陽奈子たちがマルタ島へ向けて、新東京国際空港の搭乗手続きを済ませたときだった。


「貴行! 陽奈子さん!」


遠くから呼ばれた名前に、貴行と揃って振り返る。そこには阿佐美と、どういうわけか智子の姿があった。


「母さん、どうしたんだよ。おばさんまで」
「どうもこうもないでしょ。お見送りにきたのよ」


阿佐美のうしろで智子がもじもじとしている。らしくない姿だからこそ、そこに貴行と陽奈子の目線が集中する。


「ほら、お姉様、陽奈子さんに言うことがあったんでしょう?」
「や、やあね、やめてよ」


阿佐美に急かされ、智子はしどろもどろだ。


「おばさん」

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