極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「……はい?」
「陽奈子と一緒に行くと言っているんだ」


耳を疑う言葉を投げかけられ、陽奈子ひとりだけ時が止まったようになる。

(今、私と一緒に行くって言ったの? ……どうして?)

ゆっくりとまばたきを繰り返し、貴行を見た。


「どうして私と一緒なんですか?」


誘うつもりで言ったわけではない。単なる報告だ。


「たまたま行き先が被っただけだ」
「……そう、ですか」


いや、でも、青の洞門自体を知らない様子ではなかったか。

(カプリ島のほうを言ってたよね……?)

納得いかずに首を捻っていると、貴行はさらに続けた。


「ひとりだろうとふたりだろうと、青の洞門の美しさが損なわれるわけではないだろう」

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