極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

どちらとも判別がつかずに見入っていると、男性はいぶかし気に眉をほんの少しだけひそめる。

そこでようやく我に返り、陽奈子は差し出された帽子を慌てて両手で受け取った。弾みで手が触れ合い、あやうく落としそうになる。
並外れた容貌の男性を前にするのが初めてなら、ここまで動揺するのも初めて。


「ありがとうございました」


落ち着きなく目を泳がせながらなんとか英語でお礼を言うと……。


「カメラは?」


なんと、返ってきたのは日本語だった。


(日本人だったんだ。でも、カメラって? ……あぁ、もしかしたらこの人も私がカメラマンだと思ったのかな)


きっと陽奈子が次々と写真撮影していたのを見ていたのだろう。


「私、違うんです」


右手をひらひらと振って身振りでも否定する。

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