極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「違う?」
「カメラマンってわけ――」
「そうじゃない」


間髪容れずに男性が陽奈子を遮る。

(そうじゃない? それじゃなんだろう?)

陽奈子が小首を傾げて背の高い彼を見上げると……。


「写真を撮ろうかって言ってるんだ。ひっきりなしにカメラマンをやらされていただろう。キミも撮ってほしいだろうと思って」


そんな気遣いをされるとは思いもしなかった。

男性は涼しげな顔をして手のひらを上に向け、右手を差し出してきた。デジカメをよこせといったところか。


「あ、いえ、私は風景だけで十分なので」


陽奈子は自分の顔をあまり好きではない。
それほど大きくない垂れ気味の目、少しふっくらとした頬と唇。他人に言わせると、特別な美人ではないが男好きのする顔なんだとか。

陽奈子にそんなつもりはないのに、男にすると誘っているような雰囲気をまとっていると。

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