極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
そうしてその場に居座り続けるのにも限界がくる。ギリギリまで粘っても、貴行は現れなかった。
そこでようやく疑問の答えが見つかる。
なんのことはない。いっときの気まぐれだったのだ。
異国の地という雰囲気に乗せられ、その場の流れでなんとなくキスをしただけ。
それは陽奈子も同様。貴行ひとりに罪をかぶせるつもりはない。
初めての海外旅行で気持ちが浮かれていたのは事実。そこへきて貴行が容姿端麗なばかりに、うっかり心惹かれただけ。
そしてそれは、ひとときの熱。風邪をひいたのも同じなのだ。
これがアバンチュールというのだろう。
陽奈子はそうして自分を納得させ、飛行機に乗り込んだのだった。