極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

未恵が言うには、連帯保証人というのは、借金全額について支払いをする責任を負うもの。つまり借主ではないのに、同等の重い責任を負うのだと。

そして、その責任から逃れるのはとても困難だという。


「……それじゃ工場を手放すの?」
『工場を手放してお金を作るしかないかもしれないの』
「そんな……」


豊が船舶の部品を扱う工場を立ち上げて三十年。
それこそ死に物狂いで経営を軌道に乗せてきた大切な会社だと、陽奈子は子供のころからよく聞かされてきた。
従業員数こそ四十人と多くはないものの、堅実な経営で従業員の満足度は高い。

その工場が倒産の危機だとは穏やかではない。
しかも友人の借金が原因だとは。そんなひどい話があるだろうか。

陽奈子の身体が震えだす。


「なにかほかに手立てはないの?」


なんとかして工場を手放さずに済む方法はないものか。

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