極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
陽奈子自身には当然ながら、二億円という途方もない金額を用立てるのは無理な話。
なにか別の手段で工面する方法は……。
「銀行は? 貸してもらえないの?」
三十数年取り引きをしている銀行も、豊が堅実経営をしているのは知っているはず。そこから二億円を融資してもらえないだろうか。
『それもあたったんだけどダメだったの』
すでに話を持っていって撃沈していたようだ。
それなら、ほかになにがあるだろうか。
いくら考えたところで、陽奈子に名案が浮かぶはずもない。二億円という破格の金額は、会社を追われるように退職した陽奈子には夢物語も同然だ。
『実はね、ひとつだけ可能性のある話はあるにはあるんだけど……』
「えっ、そうなの? どんな手?」
奥の手があるらしいのに、なぜか未恵の声は覇気がない。