極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

同じ歳の未恵はもともとグレーヘアのため、前回会ったときとさほど印象は変わらないものの、やはり少しやつれたようではある。

豊と未恵が並んで座った向かいに、陽奈子はテーブルを挟んで萌々と並んで腰を下ろした。


「父さんと母さんは、陽奈子の気持ちを最優先にしたいと考えている。昨日、母さんが話して聞かせた手段は、あくまでも案だ。陽奈子が望まないのであれば、この話は辞退する方向で進めようと思ってる」


和室の空気がピンと張り詰めたのがわかった。

未恵から今回の話を聞かされたあとから、ずっと考え続けてきた。
それこそ一分一秒刻みで。四六時中と言ってもいいほど悩み抜いた。

この家と家族はもちろん、工場に勤める人たちの生活を守れるのは自分しかいない。
出した答えは、イエスだった。

最初に未恵から聞いたときから、もうそれしかないとどこかでわかっていた気がする。


「お父さん、お母さん、私、今回のお話、受けるわ」
「本当にそれでいいの?」

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