極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない
「いや。優しいと言いたい」
信号待ちで止まったタイミングで、貴行が陽奈子を見る。
どこに本音があるのかわからない。そんなまなざしだった。
「空港に見送りにいかなくて悪かった」
「……いえ」
答えるのが遅くなったのをひどく後悔した。
これでは陽奈子が空港で貴行を待ち焦がれていたみたいだ。
「あ、えっと、そうだったんですね。実は私、空港に着いてすぐに搭乗手続きを済ませて、一番乗りで飛行機に乗り込んでしまったので」
慌てて付け加える。
最初から来るとは思っていなった。見送りに来てくれたとしても会えなかったと言いたかった。
(本当はギリギリまで待って、最後に乗り込んだくせにね)
「そうか。待たせていたら悪いと心配してたんだ」
「いえいえ。本当にもう全然大丈夫ですから。私のほうこそかえってごめんなさい」