恋のレッスンは甘い手ほどき
そう苦笑すると、望は肩にかかる程の内巻きにしたパーマ髪を指でくるくると弄びながらため息をついた。
「どうしてかなー。鈴音は本当、自分に自信がないんだから。自己評価が低すぎるのよ。見た目だって可愛いのに、いつからそんな干物女になったんだっけ? ねぇ、婚活行きなよ」
「婚活かぁ。行ったことあるけど……私なんて地味だし、受け身の性格だから話もうまく弾まなくてさぁ」
はるか前に一度だけ行った婚活パーティーを思い出してつい苦い顔になる。
社交辞令程度で会話はするけど、どうにもそれ以上発展することがない。
連絡先を交換したとしても、一度食事に行って終わってしまうのだ。
数少ない合コンも似たような結果になる。
一応、私なりに努力はしているつもりだ。
相手と会話を続けようと、受け身になりすぎないように質問をしてみたり、笑顔を絶やさないようにしたり、服装も年相応で且つ女性らしい物を購入して見たり……。
しかし、どうにも縁に恵まれない。
そもそもが相手になかなかドキドキしたりキュンとしたりと、ときめかない。
すると、望は私を正面から見据えて言った。
「あのね、だからそこを直せって話でしょうが。キュンキュンしたいなんて、アラサー女がなに高校生みたいなこと言っているの。待っていても王子様なんかこの歳になると素通りしていくんだからね! 自分から行動しないともう何も発展しない年になっているの。その年で純情ぶっていつまでも受け身でいたら、誰も相手にしないのよ。それが通用するのは20代前半までだからね」
「うっ」
お酒も入り、いつにも増して辛辣な言葉に胸が痛い。