僕は犬になった?
第4話 楓の恋
彼女はとても嬉しそうだった。
店は会場から5分位の所にある新しく出来たイタリアンレストランだった。
席に着くと彼女は
「良かった。やっぱりまた会えたね」って言った。
僕は改めて財布のお礼を言ったんだけど、彼女は
「違うよ。ひょっとして健介は私の事覚えてないの?」って言われた。
僕は???だった。
「ふ〜ん。そうかぁー。私の片想いだったんだ」と言って寂しそうに笑った。
僕には何の事を言ってるのか分からなかった。
彼女は僕の顔をじーと見つめて
「じゃあ、改めて自己紹介するね。私は山本楓。中学二年生まで健介の同級生でした。覚えてない?」と言った。
山本 楓・・・
名前は覚えてる。
確かに僕は楓とは小学生の時から仲が良かった。
家も近くだったし。
毎日のように遊んでた。
唯一の女友達と言っても良い。
でもあの頃の楓はこんな美人じゃなかった。
ひょろひょろでおかっぱで眼鏡かけてて、女として意識した事は無い。
でも楓は中学二年の時、親の転勤で引っ越しする事になったんだ。
僕は楓が引っ越しする日に会いに行った。
僕が顔を見せると楓は急に泣き出し
「健介、来てくれてありがとう。私は健介の事絶対忘れないから」って言った。
楓が泣くから僕も悲しくなって
「うん、僕も忘れないよ。今まで仲良くしてくれてありがとう」って少し涙ぐんで言ったと思う。
僕は仲の良い友達との別れが悲しかったんだけど楓は少し違ったみたいだ。
僕は驚いて
「えっ、あの楓なの? 全然分からなかった。だってこんなに綺麗になってるんだもん」って言った。
楓は
「私は直ぐ分かったよ。健介の事。あの展望台で会った時も、今日入社式で会った時もね」って言ったんだ。
「じゃ財布を届けてくれた時に言ってくれたら良かったのに」って僕は抗議した。
楓は
「あの時は私も突然健介が現れたからテンパってしまって・・・それにあの時はちょっと事情もあったしね」
事情ってなんだろうって、ちょっと気になったけど、楓に再会出来たことは素直に嬉しかった。
だって僕の唯一の女友達だった楓と8年振りに会えたんだから。
小学生の頃の楓は気が強いけど泣き虫でいつも僕の後ろを付いて来てた。
中学生になって少し離れたけど、家族ぐるみの付き合いだったから家族で一緒に遊びに行ったり、旅行に行ったり、お互いの家で食事をしたりしてた。
だけど楓が引っ越して行ってからは全く行き来はなくなった。
あれから8年、僕の前には美しく変身した楓が座っていた。
「でも偶然だね。おなし同じ会社に就職するなんて」って僕が言うと
「うふふ。偶然だと思う?」って楓が言った。
「どういう事?」
「私、引っ越してからも健介のお母さんと連絡取ってたんだ。それで健介の事色々聞いてた。本当は大学も一緒に行きたかったけど落ちちゃって。健介頑張り過ぎだよ。私頭悪いから追いつけなかった。だから就職だけは同じ所行きたいから必死だったんだよ」
僕は女の子の気持ちなんて分からないから
「なんでそんなに僕と同じ所に来たいの?」って馬鹿な事聞いてしまった。
楓は僕を睨み
「そんな事も分からないの? 健介は頭は良いけど馬鹿なんだね」って怒りながら言った。
僕は本当は分かってたけど信じられなかったから聞いたんだよ。
だってこんな美人な子が僕の事が好きで同じ会社に入りたかったなんて信じられる訳ないじゃない。
楓は言った。
「私は健介に会うため頑張ったんだよ。だから今度は健介が頑張ってね」
「頑張るって?」って僕は聞いた。
「それは自分で考えて。さぁ食べよ」って言って楓は美味しそうに食べ始めた。
僕も食べたけどさっぱり味が分からなかった。
彼女はとても嬉しそうだった。
店は会場から5分位の所にある新しく出来たイタリアンレストランだった。
席に着くと彼女は
「良かった。やっぱりまた会えたね」って言った。
僕は改めて財布のお礼を言ったんだけど、彼女は
「違うよ。ひょっとして健介は私の事覚えてないの?」って言われた。
僕は???だった。
「ふ〜ん。そうかぁー。私の片想いだったんだ」と言って寂しそうに笑った。
僕には何の事を言ってるのか分からなかった。
彼女は僕の顔をじーと見つめて
「じゃあ、改めて自己紹介するね。私は山本楓。中学二年生まで健介の同級生でした。覚えてない?」と言った。
山本 楓・・・
名前は覚えてる。
確かに僕は楓とは小学生の時から仲が良かった。
家も近くだったし。
毎日のように遊んでた。
唯一の女友達と言っても良い。
でもあの頃の楓はこんな美人じゃなかった。
ひょろひょろでおかっぱで眼鏡かけてて、女として意識した事は無い。
でも楓は中学二年の時、親の転勤で引っ越しする事になったんだ。
僕は楓が引っ越しする日に会いに行った。
僕が顔を見せると楓は急に泣き出し
「健介、来てくれてありがとう。私は健介の事絶対忘れないから」って言った。
楓が泣くから僕も悲しくなって
「うん、僕も忘れないよ。今まで仲良くしてくれてありがとう」って少し涙ぐんで言ったと思う。
僕は仲の良い友達との別れが悲しかったんだけど楓は少し違ったみたいだ。
僕は驚いて
「えっ、あの楓なの? 全然分からなかった。だってこんなに綺麗になってるんだもん」って言った。
楓は
「私は直ぐ分かったよ。健介の事。あの展望台で会った時も、今日入社式で会った時もね」って言ったんだ。
「じゃ財布を届けてくれた時に言ってくれたら良かったのに」って僕は抗議した。
楓は
「あの時は私も突然健介が現れたからテンパってしまって・・・それにあの時はちょっと事情もあったしね」
事情ってなんだろうって、ちょっと気になったけど、楓に再会出来たことは素直に嬉しかった。
だって僕の唯一の女友達だった楓と8年振りに会えたんだから。
小学生の頃の楓は気が強いけど泣き虫でいつも僕の後ろを付いて来てた。
中学生になって少し離れたけど、家族ぐるみの付き合いだったから家族で一緒に遊びに行ったり、旅行に行ったり、お互いの家で食事をしたりしてた。
だけど楓が引っ越して行ってからは全く行き来はなくなった。
あれから8年、僕の前には美しく変身した楓が座っていた。
「でも偶然だね。おなし同じ会社に就職するなんて」って僕が言うと
「うふふ。偶然だと思う?」って楓が言った。
「どういう事?」
「私、引っ越してからも健介のお母さんと連絡取ってたんだ。それで健介の事色々聞いてた。本当は大学も一緒に行きたかったけど落ちちゃって。健介頑張り過ぎだよ。私頭悪いから追いつけなかった。だから就職だけは同じ所行きたいから必死だったんだよ」
僕は女の子の気持ちなんて分からないから
「なんでそんなに僕と同じ所に来たいの?」って馬鹿な事聞いてしまった。
楓は僕を睨み
「そんな事も分からないの? 健介は頭は良いけど馬鹿なんだね」って怒りながら言った。
僕は本当は分かってたけど信じられなかったから聞いたんだよ。
だってこんな美人な子が僕の事が好きで同じ会社に入りたかったなんて信じられる訳ないじゃない。
楓は言った。
「私は健介に会うため頑張ったんだよ。だから今度は健介が頑張ってね」
「頑張るって?」って僕は聞いた。
「それは自分で考えて。さぁ食べよ」って言って楓は美味しそうに食べ始めた。
僕も食べたけどさっぱり味が分からなかった。