悪役令嬢、乙女ゲームを支配する
「喜んで」
「ありがとう! マリア!」

 リリーをいじめなきゃいけないってのは忘れて後で考えよう。
 今はこの第二の人生を純粋に楽しみたい。

「ディナー会開始まで時間があるわ。綺麗なお花を眺めながらお話しない?」
「お花よりリリーの方が綺麗よ」

 過去男に似たようなことを言われ虫唾が走った言葉をまさか自分が言うなんて。それでもリリーは照れくさそうに笑ってくれる。

「やだマリアってば。貴女には敵わないわ。わたしは見た目がまだ子供っぽいでしょ? マリアは大人っぽくて色気があって……羨ましい」

 頬に手を当てるリリーが天使にしか見えない。
 以前私も天使と呼ばれてたけど、本物の天使ってのはこういう子のことをいうのよ。

「それはただ私が老け顔なだけよ。ていうか、お呼ばれした私達は今日これからどうしたらいい感じ?」
「もう、マリアは忘れっぽいのね。今日はディナー会があって、その後は各自部屋に帰っていいのよ。移動で疲れもあるだろうからって王子からの気遣い。明日からは毎日お城で自由に生活して夜はパーティーが開かれるの」
「毎日って……一体これ、何のパーティーなの?」
「アル王子の花嫁を探すパーティーよ。その為に各地からご令嬢が集まってるんじゃない。ちゃんと招待状を見た?」

 花嫁探しパーティー……確かにそんな内容の話だった気が。
 そうか。それで女達の醜い王子取り合いサバイバルが始まるんだった。
 じゃあ明日から王子にアタックする日々が本格的に始まって今日はライバルの顔合わせってとこね。まぁ私には関係ないけど。

「王様がアル王子が花嫁を決めるまで毎日パーティー続けるって張り切ってるみたい。だからしばらくマリア一と緒にいられそうね」

 リリーといられるなら永遠に嫁なんて決めないで欲しい。一日で決めやがったらぶっ殺す。


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