悪役令嬢、乙女ゲームを支配する

「貴女、まさか本気でこのパーティーがアル王子の花嫁探しってまだ信じてるんですの?」
「違うの?」
「あはは! マリア残念ー。これはね、そういう名目で人を集めてほんとは“リリーとアル王子の婚約お披露目会”って噂だよぉー」
「……リリーと? どういうこと?」
「ホワイト家は昔からオーズリー家と親交が深い――リリーは小さい頃からアル王子と知り合いで仲もいいし国王にも気に入られてるって話ですわよ」

 マリア(私)には死ぬほど重いもん背負わせといて、リリーはそんな大きいハンデ持ってたの!? さすが主人公補正。
 そもそもこれは出来レースの花嫁探しで、最初から誰も勝ち目はなかったのか。

「……ん? じゃあそれ知っててわざわざ来た理由は?」
「そんなの決まってるじゃんー! もしかしたらリリーよりいい女探してるかもだし、何よりアル王子はハイパーイケメン! 何日か一緒に過ごせるだけでも……って人も多いよー。あ! 後は他のイケメン探しとか! 王子は無理でもイケメン使用人狙ってたりぃ」

 どいつもこいつもイケメン好きすぎるでしょ。

「――でも気に入らないですわ。ホワイト家の娘ってだけで私達が負けるなんて。リリーさえいなければ……さっき他の子とも、みんなで結託してリリーを陥れて城から追い出そうって話してたとこですの」

 ジェナは苛立ちを露わにし、爪をギリギリと噛みながら言う。
 
 みんなでリリーを陥れる? そんなのだめだ。
 私は別に王子が誰と結婚しようがどうでもいいし、リリーは私のと、とと、友達だもの。

 でもこのまま放置したら、ジェナあたりが私の代わりにボスになってリリーに危害を加える可能性もある――だったら。

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