悪役令嬢、乙女ゲームを支配する
周りには常に人が溢れ、現在進行形で人気者人生を送り続けている私も大学生になって半年が経つ。
高校生の時より大人になって周りも落ち着くかと思いきや、入学してすぐ男達が私のファンクラブを作った。
「付き合って下さい」
「ごめんなさい」
告白された回数なんて覚えていない。
でも首を縦に振った回数は覚えている。ゼロ回だ。
私のことを何も知らずに好きだと言ってくる人は誰も信用できない。
「真莉愛ちゃん、一緒に帰ろう!」
「私も私もー!」
女の子も私が一人で歩けばすぐに周りを取り囲む。
「ねぇ真莉愛ちゃん聞いて? 明後日の日曜日に彼氏が家に来るんだけど手料理食べたいって言われて……私全然料理できないのにどうしよう~っ」
その中で他の子より強く私を好いてくれているのが、今もこうやって私の隣で腕をがっつり掴んで離さず上目遣いで話しかけてくる舞(まい)だ。
大学に入って一番最初に話しかけてくれた、小さくて可愛い女の子。
「それなら私が今日教えに行こうか?」
「いいの!? 真莉愛ちゃん天使! いや神様!」
聖母マリアのような心を忘れず常に優しい完璧美女。
「今日はありがとう真莉愛ちゃん~」
「うん。じゃあまた月曜にね」
そんな私も家に帰れば。
「あぁぁーーつっかれたぁーーっ!」
散らかった部屋でスウェット着てポテチ片手にコーラを飲みながら大声で叫ぶ。
物心ついた時から私はずっと、完璧なお嬢様で、女の子らしい振る舞い――という演技をしていた。それは今も継続中で。