悪役令嬢、乙女ゲームを支配する
「わからない。他の王子をよく知らないからね。ただ幼い頃からいろんなことを学んだよ。学ばなきゃいけなかった。僕が僕として生まれたからには」
「自分が、自分として生まれたから……?」
「僕には国を守る責任がある。幸いにもこの国は平和で裕福で戦争もない。結婚相手を自分で選べることなんて感謝しかないよ。政略結婚で溢れているこの世の中で」
「――政略結婚っていうのは、利益の為ってことよね」
マリアの両親達がマリアにさせようとしていることも、政略結婚だ。
マリアの意思は関係なく、アルの財産しか見えていない。自分達の保身の為に。
「僕はそんなの嫌だ。綺麗ごとだけど、許される環境なら好きになった人と一緒になりたい。そうさせてくれるチャンスをもらえた今、必ず愛する人と共に人生を歩んで行きたい」
リリーのことだろうか。アルの話を聞きながら私は思った。
「本当は旅にでも出て自分で運命の人を探しに行きたかったけどできなかった。でも代わりにこうして素敵な女性達がたくさん来てくれて……その中にマリアがいた。来てくれて本当にありがとう」
「……どうしてアルは私なの? 今も一緒にいるの? まだ二人きりになってない女性はたくさんいるじゃない」
「君を知るには一緒にいるのが一番だと思ったからだよ」
「言ったじゃない。私貴方に興味ないって。何ならこのパーティーをめちゃくちゃにしてやろうと企んでいるのよ。貴方が愛する人と一緒になりたいと願うこのパーティーを」
顎を上げ、下からアルをせせら笑うように言うと、アルは私の挑発などものともせずにニッと口角を上げた。
「そう。だったら――望むところだよ。マリア」
余裕全開で私の頭を撫でするりと指に髪を絡めながら、そのまま頭にキスを落とす。
「なっ……! 何してっ」
「僕を挑発するんだったら、これくらいで赤くなってちゃダメだよ? じゃあね。また夜に」
アルは勝ち誇った顔をして私が反撃をする前に去って行く。
最初に会った時もそうだった。あの時は手の甲にキスされて――でも、こんなにカッと熱くはならなかった。
「自分が、自分として生まれたから……?」
「僕には国を守る責任がある。幸いにもこの国は平和で裕福で戦争もない。結婚相手を自分で選べることなんて感謝しかないよ。政略結婚で溢れているこの世の中で」
「――政略結婚っていうのは、利益の為ってことよね」
マリアの両親達がマリアにさせようとしていることも、政略結婚だ。
マリアの意思は関係なく、アルの財産しか見えていない。自分達の保身の為に。
「僕はそんなの嫌だ。綺麗ごとだけど、許される環境なら好きになった人と一緒になりたい。そうさせてくれるチャンスをもらえた今、必ず愛する人と共に人生を歩んで行きたい」
リリーのことだろうか。アルの話を聞きながら私は思った。
「本当は旅にでも出て自分で運命の人を探しに行きたかったけどできなかった。でも代わりにこうして素敵な女性達がたくさん来てくれて……その中にマリアがいた。来てくれて本当にありがとう」
「……どうしてアルは私なの? 今も一緒にいるの? まだ二人きりになってない女性はたくさんいるじゃない」
「君を知るには一緒にいるのが一番だと思ったからだよ」
「言ったじゃない。私貴方に興味ないって。何ならこのパーティーをめちゃくちゃにしてやろうと企んでいるのよ。貴方が愛する人と一緒になりたいと願うこのパーティーを」
顎を上げ、下からアルをせせら笑うように言うと、アルは私の挑発などものともせずにニッと口角を上げた。
「そう。だったら――望むところだよ。マリア」
余裕全開で私の頭を撫でするりと指に髪を絡めながら、そのまま頭にキスを落とす。
「なっ……! 何してっ」
「僕を挑発するんだったら、これくらいで赤くなってちゃダメだよ? じゃあね。また夜に」
アルは勝ち誇った顔をして私が反撃をする前に去って行く。
最初に会った時もそうだった。あの時は手の甲にキスされて――でも、こんなにカッと熱くはならなかった。